バイオマーカー・トピックス No.1(2008.3.10)
バイオマーカー・トピックス
No.1(2008.3.10)
(株)サイリック
バイオマーカーの探索・発見・適応への関心が内外で急速に高まってきています。トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等のポストゲノミクス研究の急速な進歩と実用化、テーラーメイド医療の進展、癌などの各種疾病の早期発見・診断への関心の高まりなどを背景に、それに寄与できるバイオマーカーが注目されてきているからです。
「バイオマーカー・トピックス」は内外で発信される数多くのニュースや雑誌記事、論文などから適宜選んで、その要約やポイントを日本語で紹介するものです。
皆様の研究活動やビジネスに少しでも役立てばと願っています。
なお、翻訳はサイリックが担当しており、専門用語などは的確でない場合もあることをご容赦ください。また長文の場合はサイリックの判断で一部のみを紹介しています。正確なことは直接原典で確認してください。(多田 丞)
(2008年2月21日)
Nature 21 February 2008、P949-952
<概要>
近年、心血管系疾患(cardiovascular disease)の治療進歩は著しいものがあるが、それにもかかわらず、先進国等では今なお死亡原因の上位を占めている。
心血管系疾患の古典的なリスクファクターとしては高血圧、糖尿病、喫煙などが挙げられているが、それらは現在でも疾病予防のために主要な役割を担っている。
しかしながら、一方で虚血性心疾患(Coronary Heart Desease:心臓に血液を供給する血管が狭くなることで起きる心疾患)を有する患者の多くは、これらのリスクアクターのうちの一つしか有さないか、あるいは全く有していない。
したがって、これらの古典的な診断指標に加えて、新しいバイオマーカーの開発・適応が必要になってきているし、さらに疾患のメカニズムを説明するのにも必要となってきている。
<要旨>
臨床的な観点からは、バイオマーカーは様々な機能を有しており、特に疾病の進展段階によって異なる指標を示す点で重要となっている。
バイオマーカーは、「スクリーニング用バイオマーカー」として人々が特定の疾患を発症する可能性があるかどうかを検査する、「診断用バイオマーカー」として発症の有無や段階を診断する、さらには「予後診断バイオマーカー」として疾患の進展や治療予後などを判定する等に応用して、人々や患者の健康管理を助けることができる。
現在、心血管疾患用の診断や予後判定のためのいくつかのバイオマーカーは使用可能であるが、スクリーニングのためのバイオマーカーで認められたものはまだない。
心血管系疾患リスクからの発症を予防することは公衆衛生負担を軽減する上で本質的な影響を与えることになるものであることから、現在、これら研究領域は非常に活発化してきている。
この記事でわれわれは、現在始まっている努力が近い将来において重要な技術として、いかに統合されていくかを注目し、臨床的に有用なバイオマーカーの捜索について議論する。
以下省略
(Nature 21 February 2008、P949-952)
(2008年2月28日)
米議会、乳癌攻撃に向けたバイオマーカー発見のための予算を決定
NEW YORK (GenomeWeb News) –
米国議会は、卵巣癌のためのゲノミクス研究を加速させるため、2008年、NIHにイニシアティブを設けるための法案として「卵巣癌バイオマーカー研究法」(the Ovarian Cancer Biomarker Research Act)を成立させ、その予算を決定した。同法案はNCI(国立癌研究所)に卵巣癌用のバイオマーカーおよび診断方法の研究センターおよび臨床試験委員会を設置し、複数年にわたり100万ドル以上の資金を提供するプログラムを開始することを認可する内容となっている。
また同法案では、検知用バイオマーカーを発見し、有効にするための中核的研究機関を設置し、そこにおいて卵巣癌のスクリーニング方法およびリスクを層化するための研究等を推進するのに2009年から2012年の4年間にわたって年間予算2,500万ドルを認可することになっている。
その中では、特に卵巣癌バイオマーカーの研究及び臨床研究によるバリデーションにフォーカスをあてており、方法の標準化、サンプルの準備、試薬、再現性および他の関連する研究を行うことになっている。
米国の卵巣癌全国同盟(OCNA)の政策アナリストであるカーラ・テネンバウム女史は「このプログラムは、既存のリサーチ・プログラムにも、新たに始める研究プロジェクトにも適用される。これによって、卵巣癌のためにバイオマーカーを使用する方法についての臨床的、疫学的研究を開発し実用に移す努力を行い、またそのための新しい生体組織、尿、血清および他のバイオ標本のための実用的なリポジトリーも開発することになる」といっている。
彼女は「卵巣癌に利用可能で有効なスクリーニングテストは現在のところまだない。また、卵巣癌の徴候は誤診されやすく、それを識別するのが非常に難しい。そのような結果、発見が遅れることがしばしばである」といっている。
OCNAによれば、毎年、米国のおよそ20,000人の女性が卵巣癌と診断される一方、およそ15,000人の女性がこの疾病で死亡している、とされる。
卵巣癌を発症した女性の5年生存率は約45パーセントであり、早期に発見され適切な治療を受ければ非常に有効であるとされ、卵巣癌が初期の段階で診断・発見されれば、その93%は5年以上生き延びられると推定されている。この点が議会を動かしたのである。
(2008年2月29日)
Quest(民間研究所)occult blood tests.
Questは、エピゲノミクスからSeptin 9バイオマーカーを特定し、その非排他的ライセンスを得た米国で最初の民間研究所である。同研究所は、バイオマーカーに基づいた自家製Septin 9 DNAメチル化試験を開発し上市した。これは大腸内視鏡検査(コロノスコピー)および糞便潜血試験の補足として使用される。
(2008年3月5日)
Genedata社、アフィメトリクスのエクソンアレイのためのプロットフォームを拡張
NEW YORK (GenomeWeb News)
Genedata(Basel, Switzerland)のプロテオミクスなどのデータ統合・処理・管理ソフトである「Expressionist biomarker-discovery software」 がアフィメトリクスのジーンチップ互換性のエクソン・エクスプレッションソフトに承認された。
<Genedata Expressionistについて>
GenedataのExpressionistは、バイオマーカー探索用の特異的なプラットフォームである。
最適なバイオマーカーセットのための統合ツール
トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス及びトキシコ・データ等の統合化と分析を同時に行える初の製品であり、-omics、cross-omics、トキシココロジー・データ等の信頼できる品質評価専用モデュールである。
同社では、Expessionistはフォーマットの変更が必要なエクソン・エクスプレッション・アナリシスおよび「データ・ヒエラルキー」をサポートしており、さらにエクソン・アレイは140万個のプローブを含んでいるため、発現解析アレイよりもより大規模な解析が可能である。また、Expressionistは、ReFiner Array Moduleを含み、ジーンチップからのエクソンデータの処理や評価が可能である、と述べている。
(2008年3月5日)
MorphoSys社のAhD Serotec Unit、Proteomikaの抗体研究用に開発
NEW YORK (GenomeWeb News)
MorphoSys(Martinsried/Planegg, Germany)社のAbD Serotec Unitは、バイオ製薬企業であるProgenika(Cambridge, MA USA)社の子会社であるProteomika(Derio、Spain)社のバイオマーカー探索用プロテオミクス技術を「マルチプル」抗体研究用に拡張した、と発表した。

