バイオマーカー・トピックス(No10.2008年4月30日)
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バイオマーカー・トピックス NO.10(2008・4・30) ㈱サイリック提供 |
バイオマーカーの探索・発見・適応への関心が内外で急速に高まってきています。トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等のポストゲノミクス研究の急速な進歩と実用化、テーラーメイド医療の進展、癌などの各種疾病の早期発見・診断への関心の高まりなどを背景に、それに寄与できるバイオマーカーが注目されてきているからです。
「バイオマーカー・トピックス」は内外で発信される数多くのニュースや雑誌記事、論文などから適宜選んで、その要約やポイントを日本語で紹介するものです。
皆様の研究活動やビジネスに少しでも役立てばと願っています。
なお、翻訳はサイリックが担当しており、専門用語などは的確でない場合もあることをご容赦ください。また長文の場合はサイリックの判断で一部のみを紹介しています。正確なことは直接原典で確認してください。(多田 丞)
目次
・CEP(骨髄由来の血管内皮前駆細胞)はベバシズマブのバイオマーカーとして有望 1
・東京都老人研、ミトコンドリア病の遺伝子検査を1週間で検出できる技術を開発 2
・ジェネンテックス社のプロテイン・マイクロアレイ(QArray family)の応用について 4
・東京農工大の田中剛准教授ら、TFT(薄膜トランジスタ)を利用した簡易DNA検出技術を開発 8
・G&Gサイエンスと薬局チェーンのいわいが提携、薬局での遺伝子検査を実施 9
・<研究所紹介>㈱プロトセラ・膜タンパク質&リガンド解析センター 9
(2008年3.月21日)
CEP(骨髄由来の血管内皮前駆細胞)はベバシズマブのバイオマーカーとして有望
日経メディカル・オンライン版 八倉巻 尚子=医学ライター
第6回日本臨床腫瘍学会学術集会での報告から
抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体ベバシズマブの効果を予測するバイオマーカーとして、骨髄由来の血管内皮前駆細胞(CEP)が有望であり、大腸癌化学療法では末梢循環大腸癌細胞(CTC)が有用であることが確認された。癌研究会有明病院化学療法科の松阪諭氏らが、3月20日から福岡市で開催された第6回日本臨床腫瘍学会学術総会で発表した。
化学療法の効果を予測するバイオマーカーとしては、これまでに末梢循環大腸癌細胞(CTC:circulating tumor cell)や、末梢循環血管内皮細胞(CEC:circulating endothelial cell)、骨髄由来の血管内皮前駆細胞(CEP:circulating endothelial progenitor)が有用であるとの報告がある。
研究グループは、進行大腸癌の標準療法であるFOLFOX4による化学療法を受けた患者30人、FOLFIRIによる化学療法を受けた患者13人、FOLFOX4にベバシズマブを追加した患者21人において、CTC、CEC、CEPの変化を分析し、治療効果との関連性を調べた。
その結果、FOLFOX4あるいはFOLFIRIによる化学療法を受けた患者のうち、効果判定がPRあるいはSDだった患者では、末梢血7.5ml中のCTC数は2週目以降、減少したが、PDの患者では増加する傾向が見られた。また無増悪生存期間は、8~12週目のCTC数が3未満の患者のほうが、3以上の患者に比べて、有意に長いことが示された(p=0.0048)。全生存率も、2週間目のCTC数が3未満のほうが、3以上の患者よりも高かった(p=0.054)。
続いて、FOLFOX4にベバシズマブを追加した患者において、CEP量を分析したところ、PRあるいはSDと判定された患者は、PDの患者よりも、2週目以降、CEP量が高い傾向が見られた。一方、FOLFOX4投与群とFOLFOX4+ベバシズマブ群において、CECの数に有意な違いは認められなかった。
これらのことから、研究グループは、「大腸癌化学療法にはCTCが、ベバシズマブではCEPが効果を予測する診断法として有用である」と結論付けた。
(2008年4月15日)
東京都老人研、ミトコンドリア病の遺伝子検査を1週間で検出できる技術を開発
―糖尿病や難聴などの原因となるミトコンドリア病を迅速に検出する画期的方法―
東京都老人総合研究所(所在地:東京都板橋区栄町、所長:井藤英喜)の研究副部長・西垣裕、主任研究員・福典之、研究部長・田中雅嗣らのグループは、糖尿病や難聴、脳や筋肉の障害などをもたらす疾患群であるミトコンドリア病の原因遺伝子変異28種類の網羅的迅速検出法を開発しました。この疾患群の原因遺伝子変異は、現在までに数多くが報告されているのにも拘わらず、従来の検査法は一カ所ずつ変異の有無を調べていたため診断に至るまでに複数回の採血や長い期間が必要で、また検査毎に高額な検査費用がかかるなど、様々な理由から最終的に診断に至らないこともしばしばありました。今回開発された方法は、主要な40カ所の変異のうちの約7割を同時に短時間で判定することができる画期的な検査法です。この研究成果は平成20年4月15日に米国神経学会年次総会において発表されたのでお知らせいたします。
1. 研究目的
細胞内小器官である「ミトコンドリア」は、細胞の中に網の目のように張り巡らされている構造で、細胞が必要なエネルギーを作りだす働きをしているが、興味深いことに、染色体ゲノムとは独立したもう一つの「ゲノム」であるミトコンドリアDNAを持っている。このミトコンドリアDNAは、両親から半分ずつ伝えられる染色体ゲノムとは異なり、全てが母親から子へ伝えられるという特徴を有している。このミトコンドリアDNAに変異が生じ、発症する難病の一群をミトコンドリア病(あるいはミトコンドリア脳筋症)と呼んでいる。この病気は、疲れやすい(易疲労性)とか下痢・便秘といった目立たない自覚症状から、低身長、糖尿病や感音性難聴、視力低下や手足の筋肉の脱力や感覚が鈍くなること、心臓機能が衰える心筋症や不整脈、時には認知症や脳卒中症状など多様な症状を生じる。症状の程度もほとんど無症状から寝たきりまで多様であり、発症年齢も乳児期から中年頃までと幅広い。この病気に対する根本治療法は、現在は残念ながら無いが、病気が慢性進行性の経過をとることが多いため、一刻も早く診断し、対症療法を開始することが望ましい。しかし原因となる遺伝子変異は、現在までに世界中で200種類以上が報告され、そのうち複数の研究施設で確認されている変異だけでも40種類程度あり、多種多様であることがこの病気の診断を困難にしている。したがって、ミトコンドリア遺伝子変異の網羅的検出法を開発することが急務であると考えた。
2. 研究成果の概要
検査会社が通常行っているミトコンドリア遺伝子変異の有無を一つ一つ調べるような従来法と全く異なり、今回開発した蛍光ビーズ・アレイPCR-Luminex法を用いた「ミトコンドリア遺伝子変異の網羅的迅速検出法」は、30種類程度の遺伝子変異の有無を同時に短時間で判定することが可能である。この方法の特徴として、
1) 28種類のミトコンドリア遺伝子点変異の有無を短時間・同時判定することが可能である。
2) 筋肉DNAは変異検出感度が一般的に高いが、この検出法は高感度であるため、血液DNAで検査することが可能である。
3) 28種類の変異判定には、全血 2 ml(へパリンあるいはEDTA-2Na、EDTA-2K採血管)から精製したDNAのほんの少量(10 ng)で十分である。
4) 1555変異のようなホモプラズミー変異だけではなく、3243変異のようなヘテロプラズミー(説明以下)も高感度で判定することが可能である。
例えば代表的なミトコンドリア病であるメラス(MELAS, mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)では、その患者さんの80%程度がミトコンドリアDNA 3243番目の塩基がアデニンからグアニンに変化している(3243A>G変異)ことがわかっているが、残りの20%の患者さんは、3243A>G変異を調べただけでは診断に至らない。今回開発した解析法は、1つの変異だけではなく、可能性のある複数の点変異も同時に調べることができるため、ミトコンドリア病を疑ったらすぐに実施できる一次スクリーニング検査として適している。現在、MELASの臨床型を含め、代表的な変異検出系(28種類)を設計している。
3. 研究開発の意義
ミトコンドリア遺伝子に変異が存在する場合、その多くは変異したDNAと正常なDNAが混在する「ヘテロプラズミー」という状態で存在し、臨床症状が重篤の場合、変異DNAの割合(変異率)も高値であることが多い。またミトコンドリア遺伝子には、「臓器特異性」という特徴があり、骨格筋、血液、その他の臓器では、ミトコンドリア遺伝子の変異率が各々異なっている。この変異率は、一般的に骨格筋や神経組織で高いが、通常遺伝子診断で用いられる血液で低いということがわかっており、ミトコンドリア病の遺伝子検査を難しくしている。例えば代表的なミトコンドリア病の一つである慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)の一部のように、血液から精製したDNAでは変異がほとんど全く検出されないにも関わらず、同一症例の骨格筋から精製したDNAを検査するとミトコンドリア遺伝子の欠失変異を検出する。したがって、今回開発した方法に限らず、血液DNAを用いたミトコンドリア遺伝子検査で変異を検出しなかったからといってもミトコンドリア病を否定する根拠にはならないので注意が必要である。ミトコンドリア病の原因となる遺伝子の点変異は、現在までに200種類以上が世界中で報告されており、この内、40種類程度は、複数の研究施設で確認されている。このように原因遺伝子変異が多岐にわたるために、その遺伝子診断は通常困難であり、日本国内では、大学などの研究機関に委託して解析する以外、個別に選んだ15種類程度の変異しか検査会社に遺伝子検査委託することができない。一方、ミトコンドリア遺伝子の全塩基配列16,596塩基対を塩基配列解析装置(DNAシークエンサー)で調べる従来法は、コストや時間、さらに多くの手間がかかり、また低い変異率の検出に適していない欠点がある。これらの欠点を補うために、蛍光ビーズ・アレイPCR-Luminex法を用いた「ミトコンドリア遺伝子変異の網羅的迅速検出法」を開発した。この方法は、変異検出感度が高いので、一般的に変異率の低い血液DNAを用いても多くの症例で点変異の検出が可能であると考えられる。変異が検出された場合は、ミトコンドリア病として早期に治療を開始することができ、また筋生検などの「確定診断」を目指した神経内科的諸検査を実施する有力な根拠になるため、実際の医療現場では福音になると考えている。
(東京都老人総合研究所のホームページ http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/mascomi/080415_nishigaki.htm
(2008年4月16日)
ジェネンテックス社のプロテイン・マイクロアレイ(QArray family)の応用について
(biomarker news net)
<はじめに>
ここに2つのメイン・タイプのプロテイン・アレイがある。
一つは複合的な混合物の特定の蛋白質およびバイオマーカーの存在を発見するための抗体/抗原アレイ、もう一つはアクティブなタンパク質を動けなく(immobilized)してタンパク質間相互作用を解明するための機能的アレイである。
タンパク質間の相互作用をハイスループット処理しその機能を解明するために、Genetixは、これらの微妙な分子の配置に理想的に適合したツール一式を開発した。
<タンパク質間相互作用の識別>
マイクロアレイは小型化されたフォーマットで、固体表面上に印刷技術で生体分子を規律正しく配列したものである。
ハイスループットのスクリーニング及びゲノムワイドの発現解析の開発を達成できるDNAマイクロアレイの成功は、価値ある情報を豊富に得ることを可能にする。
永年の努力によって、ようやく今、プロテオミックスにこの技術の応用を可能できるようになった。
しかしながら、タンパク質の複雑で多様な性質は、プロテオーム解析がゲノム解析よりも数倍も多くの努力を要求する。また、タンパク質間相互作用の潜在的な量は莫大である。
重要なことには、タンパク質機能はタンパク質構造に完全に依存していることである。したがって、研究中にタンパク質がその性質を変えてしまうことは許されないという点である。
信頼できかつ複製可能なタンパク質マイクロアレイを作るためにもっとも考慮しなければならない点は1)アレイ対象の選択、2)それをサポートする表面化学、3)変性を最小限にするアレイ条件の3つである。
<タンパク質マイクロアレイ>
2つのアレイタイプを作成できるロボットが既に完成している。
1)ピンまたはコンタクトアレイヤー2)ピエゾ-エレクトリックまたはノンコンタクトのアレイヤー
ノンコンタクトのプリンティング方式は一のサンプルを多様に配列できるので高速化が可能であるが、コンタクトプリンティング方式に比較して、サンプルの交換に時間がかかる。
コンタクト・プリンタ、例えばGenetixのQArrayスポッターは、最高品質(Figure1)のタンパク質スポットを作成できるという点に長所がある。
考慮すべき点は、冷却、加湿等のような重要な環境管理条件である。
その他の重要な点はソフトウェアの使用の容易さおよびデータのトラッキングである。
いくつかのアレイヤーは、使用の前にソフトウェアのファミリアライゼーションが求められる、またオプションは制限されている。しかし、QSoft マイクロアレイ用ソフトウェアは、どのようなアレイパターンをも印刷することができ、ステップ・バイ・ステップな実例(Figure2)を備えたセット・アップ・プロシジュアを通じてユーザをガイドしている。
<アレイ表面>
理想的には、サポートはその構造を変えることなく各タンパク質をアタッチすべきである。
コーティングされたガラススライドはアンタッグのタンパク質を固定化するための最も簡単なオプションである。
アタッチメントは、解析したいさまざまなタンパク質表面の相互作用に対応できるものである。
しかしながら、この任意のオリエンテーションは、コンフォメーションの変更によるオリエンテーションあるいは不活性化を通して、ある特定のタンパク質の相互作用の数を縮小させる。
われわれの方法では、アミン―、アルデヒド―、エポキシ―等の結合能力を示すスライドは類似している(Figure3省略)
以下省略
(2008年4月21日)
尿の微量物質で病気の発症を探る―日米英中の共同チーム
尿に含まれる微量物質を調べれば、その人の住んでいいる地域や食習慣の特徴が把握できることを、日米英中の共同研究チームが突き止めた。健康状態や病気発症の可能性などを探るのに有効という。成果は英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載される。
滋賀医科大学の上島弘嗣教授らの研究チームは、4カ国の木17地域に住む約4,600人を対象に尿などを調べた。
尿に含まれるアミノ酸や糖分などの微量物質を「核磁気共鳴装置」(NMR)で分析した結果、微量物質の量などが住む地域で異なり、食習慣の違いなどを反映した。
この手法を用いれば、ある微量物質と病気発症との関係が突き止められると期待されている。
(日経産業新聞 2008年4月21日付)
<参考文献>
「高血圧予防のためのライフスタイルのあり方に関する疫学共同研究一国際共同研究INTERMAPの一環として-」(研究代表者・滋賀医科大学・医学部・教授 上島弘嗣)
国際共同研究、INTERMAP研究は、栄養素摂取・食物摂取と血圧との関係を明らかにし、集団全体の血圧を低い方へ移行させる要因を見出すことにある。
血圧水準が高いほど循環器疾患発症率が高くなることは良く知られている。高血圧者のスクリ-ニングとその対策・治療(ハイリスク者対策)は、わが国の脳卒中死亡率の軽減に大きく貢献した。しかし、高度の高血圧者対策のみでは、わが国をはじめとした多くの国々の循環器疾患患者を減少させることはできない。それは、絶対的な発症リスクは低くても、軽症及び中等度の高血圧者から実際にはより多くの循環器疾患患者が発症するためである。したがって、集団全体の血圧水準を低い方に移行させ、中等度及び軽症の血圧水準を有する人々からの循環器疾患患者の発症数を減少させることが求められる。これすなわち、集団全体への対策である。
集団全体の血圧水準を低い方に移行させるには、集団全体に及んでいる血圧上昇要因を明らかにし、それへの対策を立てる必要がある。本INTERMAP研究の10年前に実施された国際共同研究、INTERSALTは、集団の血圧水準を規定する要因を食塩その他の電解質、肥満度、アルコール等について検討し、食塩、肥満、多量飲酒が血圧の上昇要因として、カリウム、蛋白質摂取量が低下要因であることを明らかにした。
INTERSALTは高度に標準化された方法で実施された国際共同研究であった。32カ国52の集団、20-59歳の男女総計10000人余が調査され、24時間蓄尿と生活習慣による問診、ランダムゼロによる血圧測定、身体計測等が実施された。日本の集団は、副研究として採血を行い、脂質の状況をも明らかにした。INTERSALT研究では、蛋白質摂取量を尿中の窒素排泄量で推定すると、それと血圧とは負の関連を有した。しかし、栄養調査が実施されていないので、栄養素摂取量や食物摂取量と血圧との関連は今後の検討課題として残った。そこで、INTERSALTに続く第2世代目の国際共同研究としてINTERMAPが企画された。したがって、INTERMAPは集団の血圧水準を低下させる栄養要因は何かを明らかにすることを目的としている。
INTERMAPの特徴は、INTERSALT研究の経験を踏襲し、高度な標準化を行って実施
している点にあるINTERMAPはアメリカ8集団、イギリス2集団、日本4集団、中国3集団の40-59歳男女各260名、総計5000名近くに及ぶ調査である。個人の栄養素摂取量と食物摂取量の把握は、4日間の24時間思い出し法を基準の栄養調査方法とし、料理を基準とした世界の標準に合わせた栄養素成分表を作成して栄養素摂取量、食物摂取量を計算できるようにした。栄養素の追加、補助食品の追加、等も含め、この一連の膨大な栄養のデータベース作成作業とその行程がこの報告書に記載されている。血圧測定は異なる4日間、計8回の測定値を得た。また、蓄尿は24時間蓄尿を2回実施した。さらに、ハワイの日系人を加えた副研究としてINTERMAP対象者に採血を加え、血清脂質値、血糖、フイブリノーゲン等の循環器疾患関連因子を標準化して実施する研究、INTERLIPIDを実施した。
これにより、日米における循環器疾患危険因子の栄養をも含めた総合的な所見の比較が可能となった。
この報告書は、INTERMAPの研究概要と研究計画、マニュアル、栄養調査データベースの作成過程、INTERLIPIDの結果、等を含んでいる。INTERMAPの結果は、現在国際共同研究の規定にしたがって近々最初の論文が完成する予定であるが、現在は順次国際学会での部分的な成果の発表がなされている段階である。本報告書は、したがって、INTERMAPの一部成果のまとめであり最終版ではない。血圧と栄養素との関係等の分析は、INTERMAP全体として実施し、一部の調査対象者ではパワー不足から実施しないことになっている。したがって、この報告書での成績の提示は記述的なものを中心とした。
INTERMAP、INTERLIPID研究は国際疫学共同研究の典型であり、この経験は標準化のみならず研究体制の組み方、役割分担等、学ぶ点の多いものとなった。また、いかに協力体制と信頼関係が大切であるかも学んだ。また、本共同研究を成功裏に導くために、すでに準備の段階も入れると8年以上を要し、容易ならない研究であった。それだけに、本研究に参加した多くの研究者、研究協力者は様々のことを学んだと確信している。
関連サイト:http://hs-web.shiga-med.ac.jp/study/INTERMAP/INTERMAP.pdf
(2008年4月24日)
東京農工大の田中剛准教授ら、TFT(薄膜トランジスタ)を利用した簡易DNA検出技術を開発
東京農工大学大学院 共生科学技術研究院生命機能科学部門の田中剛準教授や同大学院工学府長の松永是教授らは、TFT(薄膜トランジスタ)を利用したDNA検査装置の基盤技術を開発した。TFTを組み込んだチップ上でDNAを分離・増幅・検出するまでの要素技術を確立した。安価な部品で使い捨てタイプの検査装置を実現できるとみており、診療所などで簡単に使えるようにする。持ち運ぶ可能な小型の装置にまとめて実用化を目指す。
まず、血液などの検体(サンプル)からDNAだけを回収するために、直径80ナノメートルの鉄粒子を使う。鉄粒子を特殊な溶液に浸すと表面にアミノ酸を大量につけてプラスに帯電し、マイナスに帯電したDNAと結合しやすくなる。
微小な流路を設けたチップ上でサンプルに鉄粒子を入れ、DNAとくっついたら磁気を利用して鉄粒子ごと回収する。
次に、電気特性を利用してDNAをはがして分離し増幅する。さらにチップ上に付けた、目標のDNAと結合する分子でつかまえる。
検出には、指紋センサーに利用しているTFTを使った検出技術を応用、蛍光物質を添加して、捕まえた目標のDNAにくっつける。チップの上から励起光を当てて、蛍光物質の付いたDNAから反射する光をとらえる。
ヒトの血液0.5μlを使った実験では、アルコールの耐性にかかわる遺伝子の一部の違い(多型)を正確にとらえられた。実用化には十分な性能を確認できたという。
研究チームは安価な部品を使うため、使い捨て用の検出装置に応用できるとみている。診療所などで簡単に利用できるようにする。今後は装置の一体化と小型化を進める。
DNA検出用チップは光を使うタイプや電気を利用してはかるタイプがある。光で測定する場合、従来はCCD(電荷結合素子)や大型の検出装置を使うため高感度だが高価だった。また、電気回路で計測する場合は電気信号の雑音があり、感度を高めるのが難しい。
(日本経済新聞2008年4月24日付)
(2008年4月24日)
G&Gサイエンスと薬局チェーンのいわいが提携、薬局での遺伝子検査を実施
遺伝子検査のG&Gサイエンス(本社:福島市松川町美郷、社長:越坂卓也))は調剤薬局チェーンのいわい(本社:東京都文京区目白台、社長:岩井恭子)と提携し、5月から同社の薬局で、遺伝的に肥満や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすい体質かどうかを検査、判定するサービスを始める。日々消費者や患者と接する薬局を通じて健康志向の高い客層を開拓し、検査需要の拡大を狙う。
遺伝子検査はいわいが東京や千葉などで運営する調剤薬局7店で提供する。店頭で客に検査キットを渡し、唾液(だえき)を採取。検体をG&Gの研究所に送り、約2週間で結果が判明する。客は薬局の薬剤師から結果の説明を受ける。検査は肥満や糖尿病のほか、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞など8項目で、料金は1項目あたり3万円。初年度は約2000万円の売り上げを見込む。
生活習慣病は喫煙や食事など長年の生活習慣が原因となるほか、生まれ持った遺伝的な要素によってもある程度左右されるといわれる。G&Gの検査は遺伝的なリスクを5段階で評価する。
いわいは検査結果に応じて食事や運動の仕方などを助言するほか、栄養補助食品の販売につなげる。G&Gサイエンスはこうした利点をアピールし、他の調剤薬局との提携も進めたいとしている。
(日経産業新聞2008年4月25日付)
<研究所紹介>㈱プロトセラ・膜タンパク質&リガンド解析センター
所在地:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目5番5号
神戸バイオメディカル創造センター(BMA) 4F
TEL: 078-304-7890
IP TEL: 050-3496-1823
FAX: 078-304-7891
<設立経緯>
●㈱プルトセラは㈱プロトセラは三菱化学でバイオ研究などに携わっていた田中憲次社長が
中心となって2004年4月に創業された会社(資本金:1,000万円)である。
●21世紀の健康科学に貢献するため医薬品に高度に求められる安全性と効力の両方を
重視した創薬を企業理念とし、EBM 診断に必要な『診断マーカー』による病気の発見か
ら、治療のための創薬『標的マーカー』の発見、個々の患者さんの体質に合ったテーラーメ
イドな『抗体医薬品』並びに『受容体医薬品』の開発を目指している。
●現在、次のかくぷろじぇくとの事業化に取り組んでおり、それぞれ国内外の有力企業と提携
またはコラボレーションを組んで開発や市場化が進められている。
・独自に開発した新規プロテオーム解析技術を使って40を越える疾患から1,000種類に
及ぶ疾患バイオマーカーを発見、現在早期診断と創薬に必要な多数の抗体の作製に取
組んでいる。
・リガンド・受容体機能解析技術を用いて新たな受容体が発見され、『受容体医薬品』開発
がスタートラインについた。
・今後これらの開発成果を早期に診断薬並びに医薬品事業に繋げるため、疾患バイオマ
ーカーに関する技術・データ・組織・情報等を統合した“バイオマーカーハイウェイ”を構築
し、内部の有機的連関を強め、安全性と治療効果に優れた医薬品を一刻も早く開発でき
るよう努力していく。
●同社の基礎技術であり、独自開発を進めている膜タンパク質とリガンドの網羅的探索技術
の研究開発センターとして、2004年6月に神戸医療産業都市構想の中核施設である神戸
バイオメディカル創造センター「膜タンパク質&リガンド解析センター」を設置した。
<研究開発テーマ及び事業>
1.ブロットチップ®解析ストラテジー
Copyright 2005 © All rights reserved, Protosera Inc. http://www.protosera.co.jp
プロトセラは独自に開発したプロテインチップ(プロットチップⓇ)を用いてプロファイリング比較解析からバイオマーカーの探索及びMASCOTデータベースによる相同性検索を実施しタンパク質の同定を行っている。
2.リガンド受容体機能解析技術
細胞膜に存在する受容体は水に溶けないため、従来の精製、同定、性状分析といった解析フロー・技術が有効に働かなかった。
当社は受容体をその構造特性に関わらず人工リポソームのリン脂質二重層に再構成させ、リガンド結合能を保持したまま『膜タンパク質ライブラリ』(受容体が人工リポソーム上に分散したエマルジョン溶液)に転換できることを発見した。
この技術により、『受容体医薬品』の創薬研究に必要な受容体ソースを培養細胞のみならずあらゆる組織から大量かつ安定的に供給することを可能とした。
現在この受容体ソースを用いた“リガンド・受容体機能解析技術”を確立し、既知の受容体を用いた未知リガンドの探索や既知のリガンドを用いた未知受容体の探索を実施している。

