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バイオマーカー・トピックス(No22.2008年7月25日)

バイオマーカーの探索・発見・適応への関心が内外で急速に高まってきています。トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス等のポストゲノミクス研究の急速な進歩と実用化、テーラーメイド医療の進展、癌などの各種疾病の早期発見・診断への関心の高まりなどを背景に、それに寄与できるバイオマーカーが注目されてきているからです。

「バイオマーカー・トピックス」は内外で発信される数多くのニュースや雑誌記事、論文などから適宜選んで、その要約やポイントを日本語で紹介するものです。

皆様の研究活動やビジネスに少しでも役立てばと願っています。

なお、翻訳はサイリックが担当しており、専門用語などは的確でない場合もあることをご容赦ください。また長文の場合はサイリックの判断で一部のみを紹介しています。正確なことは直接原典で確認してください。(多田 丞)

 

                         <目次>

注目されるiPS細胞技術とは? ~再生医療の新たな切り札~(大和総研「新規産業レポート」). 1

大型薬承認時期、近づく(大和総研「新規産業レポート」). 2

米・製薬大手3社、新薬発見用のPGxツールの開発を対象にニューカマーに対して開発資金を提供   2

仏のゲノミック・ビジョン(Genomic Vision )、バイオマーカー発見等の新たな遺伝子検査のために多額の資金調達に成功... 3

がん幹細胞、簡単作製、慶応大、正常細胞に遺伝子――治療法開発に弾み... 3

乳がん・卵巣がん、遺伝子検査を受託、ファルコバイオ、まず首都圏で... 4

ナノテク使った治療法、全米組織で開発推進、米がん研・部長に聞く。.. 4

2008年11月5-7日の3日間、JIB(Journees International de Biologie)主催の議会および展示会が開催される  5

 

(2008年7月9日)

注目されるiPS細胞技術とは? ~再生医療の新たな切り札~(大和総研「新規産業レポート」)

<サマリー>

◆iPS細胞は、体を構成するあらゆる細胞を作り出せる潜在的能力をもつ、新しい幹細胞である。2007年11月、京都大学の山中伸弥教授らがヒトの皮膚細胞からiPS細胞の作製に成功したことが報じられ、世界中に大きなインパクトを与えた。
◆iPS細胞は作製に受精卵を必要としないため、倫理的な問題が生じにくい。また患者自身の細胞から作製すれば、免疫拒絶のない移植療法が可能になる。そのため、iPS細胞はこれまで多能性幹細胞として知られていたES細胞が有する問題点を回避できる可能性をもつ。
◆iPS細胞は、再生医療や新薬開発、疾患メカニズムの解明などへの応用が期待されており、国内外で実用化に向けた研究が進められている。
◆日本発の革新的な技術の早期実用化を推進するため、日本政府はiPS細胞研究に対して重点的な予算投入や、産業応用の鍵となる知的財産戦略の強化に向けた支援を行っている。
◆国内では研究拠点が整備されつつあり、iPS細胞を用いた様々な研究プロジェクトが動き出した。しかし、一方では米国をはじめとした海外の複数の研究グループから次々と新知見が発表されており、世界的な研究競争が激化している。
◆全国レベルでの研究推進や特許戦略の展開と、基礎研究の進展などに向けた国際協力という2つの側面のバランスをいかにとっていくかは今後の課題の一つといえよう。
◆ヒトiPS細胞技術は、再生医療の実現という大きな目標に一歩近づくポテンシャルを備えている。しかし、技術的および制度・環境面の課題が少なくないため、実用化にはまだ時間がかかる。iPS細胞研究が起爆剤となり、幹細胞・再生医学研究全体が活性化されることで、少しでも早く研究成果が治療に反映され、患者に還元されることを期待したい。

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要約 [185.76KB]

 

1.はじめに [390.45KB]

 

2.再生医療へと進む幹細胞研究

 

3.iPS細胞樹立の経緯と研究の現状[967.87KB]

 

4.iPS細胞研究に対する政策的支援[585.60KB]

 

5.国内のiPS細胞研究拠点とその動向[672.12KB]

 

6.おわりに

 

 

 

(2008年7月14日)

大型薬承認時期、近づく(大和総研「新規産業レポート」)

医薬品株への注目が高まりつつある。大和総研は14日付で「大型薬承認時期、近づく」というタイトルの医薬品業界レポートを発表。年度後半にかけ、複数の大型新薬の承認可否について「良い結果が続けばセクター全体の株価にとってもポジティブ」と指摘している。

注目企業はエーザイ、第一三共、武田薬品工業、キッセイ薬品工業、沢井製薬、日本化薬、久光製薬など。

(この情報は「株式新聞」2008年7月16日付を参考にまとめた)

 

(2008年7月23日)

米・製薬大手3社、新薬発見用のPGxツールの開発を対象にニューカマーに対して開発資金を提供

(Turna Ray:The Pharmacogenomics Reporter)

ボストンに本社をおくエンライト・バイオサイエンセズ社(Enlight Biosciences)がメルク、イーライ・リリー、ファイザーの3社から3900万ドル(約42億円)の資金提供を受け、大学と企業の相互に有益となる研究開発を進めるプロジェクトを開始すると発表した。

その目標とするところは、大学などの学術的研究機関と企業が協力して、ヘルスケア技術や新薬開発の成功率を高めるためのPGX等の技術開発とその商用化におかれている。

(By Turna Ray :The Pharmacogenomics Reporter)

<エンライト・バイオサイエンセズ社について>

同社は、ボストンのバイオベンチャー企業であるPureTech Venture社によって設立された会社で革新的な新薬開発とそのためのブレークスルー技術の開発を目標として、大学と企業の共同研究組織の構築などに取り組んでいる。同社の設立にはMITの生物学者のKoch教授、ノーベル賞受賞者のH. Robert Horvitz博士、スタンフォード大学の放射線医学教授のSam Gambhir博士、ハーバード大学医学部の腫瘍生物学のCook教授、同Rakesh Jain博士ら多くの著名な学者が加わっている。

 

(2008年7月24日)

仏のゲノミック・ビジョン(Genomic Vision )、バイオマーカー発見等の新たな遺伝子検査のために多額の資金調達に成功

(ニューヨーク(GenomeWebニュース)

フランスのパリに本部をおく遺伝子解析・検査会社であるゲノミックビジョン社は、新たな遺伝子解析・探索のために一連の資金調達として新たな投資家から630億ドルのほかに400万ドルを受けたと発表した。

この新しい投資家はベサリウス・バイオキャピタル社(Vesalius BioCapital)であり、投資家グループであるSociety Generale Asset Management Alternative Investmentに参加している。

ゲノミックビジョンは、ゲノム全体の質的、量的変化を検知するために、単一分子ダイレクトビジュアライゼ-ション手法であるモレキュラー・コンビング(Molecular Combing)と呼ばれる技術を採用している。(中略)

同社の開発責任者は、これらの資金を次の3つの開発に投入すると述べている。

・疾病を識別し管理するためのバイオマーカーに基づいた診断学・診断技術の開発すること;

・癌細胞中のDNA応答の研究により薬剤候補物質の合成物をテストすること

・薬剤応答用のバイオマーカー(ドラッグ・レスポンス・バイオマーカー)を開発すること

 

(2008年7月24日)

がん幹細胞、簡単作製、慶応大、正常細胞に遺伝子――治療法開発に弾み

(日経産業新聞 2008年7月24日)

 慶応大学の佐谷秀行教授は、マウス正常細胞からがんの“親玉”といえる、がん幹細胞を作り出すことに成功した。がんはがん幹細胞が自己複製を繰り返しながら子孫の細胞を作り続け、病気を重症化していくことが知られており、がん幹細胞を死滅させることが重要な治療の一つだと考えられている。作り出したがん幹細胞をもとに、がん細胞が増える仕組みや死滅できる物質を見つければ、がんの新しい治療法の開発につながる。
 がん幹細胞は正常な細胞にがん化を促す遺伝子を導入して作る。同教授らは、血液を増やす働きがあるマウスの骨髄の細胞に「N―myc」と呼ぶがん化にかかわる遺伝子を導入。それをマウスの体内に戻したところ白血病を発症、七十五日目までにマウスが全部死んだ。また、骨髄間質細胞に「C―myc」と呼ぶ遺伝子を入れたところ、骨肉腫を発症し六十日以内に死んだ。
 これらのマウスからがん細胞だけを百個集め、別のマウスに移植したところ、三十五日目までに死んだ。細胞数が少ないにもかかわらず急速にがんが広がるため、「がん化する能力が高いがん幹細胞ができたと考えられる」(佐谷教授)。
 がん幹細胞はがんが体内でできる初期に生まれ、がんを治す手掛かりになるとみられるが、正常細胞から作るのは難しかった。今後は作ったがん幹細胞を使って、がんを防ぐ腫瘍(しゅよう)マーカー(標識)を開発も目指す。がん特有の物質に反応する抗体を作れれば、有効な治療法として使えるという。
 ▼がん幹細胞 がん細胞のうち、自己複製しながら、永続的にがん細胞を作り続ける少数の細胞。放射線や抗がん剤に対する抵抗性も高く、ふつうのがん細胞を治療して死滅させても、がん幹細胞が残ってしまうと再発の可能性が高い。がん幹細胞を標的とした治療法やがん幹細胞が育つ環境をなくすことで、がん治療の研究が進む。

 

(2008年7月24日)

乳がん・卵巣がん、遺伝子検査を受託、ファルコバイオ、まず首都圏で

(日経産業新聞 2008年7月24日)

臨床検査受託のファルコバイオシステムズは、乳がんや卵巣がんの遺伝子検査「N―セット」の受託業務を始めた。血液から遺伝子を取り出し、遺伝性の乳がんや卵巣がんを発症するリスクを検査する。まずは検査手法について共同研究を進めてきた首都圏の5医療機関から受託する。
 検査は受診者の血液から遺伝子を取り出し、遺伝性の乳がんや卵巣がんが疑われる日本人患者で特徴的に変異が見られる部分の塩基配列をふるい分けて調べる。すべての塩基配列を直接解析する検査方法と比べ、コストを抑えられるという。
 N―セットで変異が見られなかった場合も「N―リフレックスセット」と呼ぶ追加検査により、すべての塩基配列を検査した場合と同等の結果が得られるとしている。2010年9月期に五億円の売上高を見込む。
 ファルコバイオは2000年2月に米ミリアド・ジェネティックスから日本での遺伝子特許の独占的使用許諾を取得。2004年12月から栃木県立がんセンター病院、聖路加国際病院、国立がんセンター中央病院、財団法人癌研究会癌研有明病院、慶応義塾大学病院と共同研究を実施してきた。乳がん患者の8‐16%、卵巣がん患者の5-10%が遺伝性という。

 

(2008年7月25日)

ナノテク使った治療法、全米組織で開発推進、米がん研・部長に聞く。

(日経産業新聞 2008年7月25日付)

米国がナノテクノロジー(超微細技術)を駆使したがん治療法の開発に力を入れている。全米で研究開発を推進する組織「がん用ナノテクノロジー同盟」の責任者である国立衛生研究所(NIH)がん研究所のピオトル・グロジンスキー部長が来日、研究活動の内容などを聞いた。
――同盟はどんな組織か。
 政府予算で設立し、がん研がとりまとめている。スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学など三十以上の機関が参加する。各機関は医学と工学、臨床のメンバーでチームを組んでいる。研究者数は全体で約四百人だ。総額一億四千四百五十万米ドル(約百五十六億円)の予算で活動する。
――どんな技術を研究するのか。
 ナノ(ナノは十億分の一)メートルサイズの粒子を使えば発生したばかりのがん細胞を光らせたり、がん細胞の場所を画像表示できるようになる。また、がんに効くが副作用も強い抗がん剤を患部だけに直接届ける技術も開発している。

――日本との関係は。
 同盟は米政府予算で運営されており、基本的には米国の参加機関だけで活動している。ただ海外で先進的な研究を行う機関との交流は重要だ。東京大学の片岡一則教授などと協力関係で具体的な話を進めている。

 

(2008年7月25日)

2008年11月5-7日の3日間、JIB(Journees International de Biologie)主催の議会および展示会が開催される

第53回となるJIBの会議及び展示会が今年の11月5日から3日間にわたってパリで開催される。

その中でも、特に次のことが注目される。

BioMI(Biology Molecular Initiatives)は、JIBの新しい革新的ステップである。

その初年度である今年のBioMIセッションでは、分子生物学の最新の進歩について議論がなされるであろう。また、最近の分子診断学産業のリーダーによる科学的成果やオリジナルな技術について報告や展示がなされるであろう。

特にこのセッションや関連する特別な展示会では、生物学及び分子診断産業のエキスパートによる会合の場が設けられ、近い将来実用が期待される先端的分子技術を新診断技術及びパーソナライズド・バイオロジー及び医療(医薬)に応用するための検討などがなされるであろう。

(Biomarkernews.net より)

 

 

 

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