フロリダ大学(UF)の研究者ら、早期癌の発見を可能にする分子手法を開発(2006年7月27日)
フロリダ大学(UF)化学部のウエイホン・タン(Weihong Tan)教授らは医師たちが多くの早期癌をこれまでより早く発見できる癌細胞検査手法を開発した。同教授らのグループは既に白血病細胞の早期発見に成功しており、分子レベルで癌を診断する最初の系統的手法にドアを開くものになると信じている。それだけでなく、彼らは新しい癌プローブが抗癌剤治療において副作用を少なくするためのテーラーメード医療をよりよく改善することができるようになるだろう、といっている。
癌を早期のうちに発見することが重要であるが、「我々の癌プローブを使用することで、潜在的な癌細胞を識別することが可能になる」と同僚のDihua Shangguan博士(ポスドク)が述べている。この研究は「米国科学アカデミー紀要」(Proceedings of the National Academy of Sciences)の7月27日付オンライン版に掲載された。
現在、多くの病理学者は、癌の形態によるか、あるいは癌組織や細胞のさまざまな特性を分析して診断している。先の論文の9人の共同執筆者らの方法は、こうした常識的な理解に反したものである。
これまでの方法では、癌が決定された時には既に発症していることをしばしば意味しており、それが問題であった。
タン教授は次のように解説している。「これまでの癌の決定的な診断には、視覚的な検査が要求されていた。癌をもっと早期に治療するためには、早期発見することがじゅうようであるが、これまでのプロセスでは早期発見には適してはいなかった。臨床医は、現在、抗体(異なるタイプの癌を識別するために生体の侵入者を認識してこれと戦う蛋白質)を検査して診断することも可能である。例えば、前立腺癌の場合、前立腺癌特有の抗原テストを併用して行う。それらが一貫性があり正確であれば、視覚的検査だけよりは好ましいが、しかし、それらは選択したいくつかのがん細胞についてのみ利用可能であるだけである」
タン教授は、癌組織と健康な組織の違いを示すことができるユニークな「分子の指紋」(molecular fingerprint)を持っていることについては既に研究者らは知っている、と言っている。しかし、この指紋を識別できる分子的ツールがまだほとんどないので、この方法はほとんど役に立たないことがと分ってきた。
研究チームは、アプタマー(*)形のツール、あるいは化学的に合成されたDNAの短い糸を作成することに努力している。アプタマーは、がん細胞かどうかを識別するのに細胞表面上の差異を利用している。この方法の要点は、前もって癌の指標に関する知識を必要としないことだ、とタン教授は言う。つまり「細胞をベースとするアプタマー選択戦略を採用することで、我々は、疾病関連分子の変異に関する知識がなくても、どのような細胞についてもその特性を認識することができるアプタマーを作り出すことができる」と述べている。
<*:アプタマー(Aptamer)>
標的タンパク質と特異的に結合する能力を持った核酸分子のこと。タンパク質の機能を阻害する働きをもつ。発見された1990年以来、増殖因子、酵素、受容体、膜タンパク質、ウイルスタンパク質などさまざまなタンパク質に結合するアプタマーが見つかっている。金属イオン、分子量の小さい有機化合物、ペプチド、複雑な構造を持つ多量体、ウイルスなどと結合するものがあることも分かってきた。また、アプタマーは結合する対象に制約が無いだけではなく、抗体では実現できなかった高い親和性と特異性をもって対象に結合させることができる。大量の合成が容易、作用機序が単純といった利点があり、構造プロテオミクス、ターゲット解析、ターゲットバリデーション、創薬などの分野で強力なツールとして期待されている。
この記事の詳細は、下記サイトで
http://news.ufl.edu/2006/07/27/target/

