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メタボリックシンドロームで注目される健康関連市場・企業(2006年8月)

厚労省が発表した「平成16年国民健康・栄養調査」報告書で、40歳~74歳の国民の3人に1人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の患者またはその予備軍と推定され、その予防や対策が勝負の課題となりつつある、とされた。これらを含む生活習慣病対策にとって、食生活の改善や運動習慣の定着がますます重要視されるようになってきている。このようなことから、わが国においても健康食品、とりわけトクホ食品市場が急成長を遂げつつあり、その規模は2兆円(健食全体)を超えるにいたっていると推定されている。その市場動向と主要参入企業の最近の動向をまとめた。

1.「メタボリックシンドローム」とは

最近、日本人のヘルスケア市場での大きな話題は「メタボリックシンドローム」である。この概念は2006年5月上旬、厚労省が発表した「平成16年国民健康・栄養調査」報告書において取り上げられたが、その副題には「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状況を中心に」が付けられた。

厚労省の定義によると、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、「内臓脂肪が蓄積することによって、血圧、血糖が高くなったり、血中の脂質異常をおこしたりして、食事や運動などの生活習慣を改善しなければ、心筋梗塞や脳卒中などが起こりやすくなる状態」のことを指すとされている。

 同報告書の概要から、要点を紹介すると以下のようである。

●メタボリックシンドロームの状況について

(1)メタボリックシンドロームが強く疑われる者と予備群と考えられる者を併せた割合は、男女とも40歳以上で特に高い

(2)40~74歳でみると、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者又は予備群と考えられる者である。40~74歳におけるメタボリックシンドロームの有病者数は約940万人、予備群者数は約1,020万人、併せて約1,960万人と推定される

(3)腹囲が男性で85cm、女性で90cm以上の者は、血中脂質、血圧、血糖のいずれかのリスクを2つ以上有する割合が高い

●生活習慣の状況について

(1)運動習慣のある者の割合が低いのは、男性20~50歳代、女性20~40歳代

(2)朝食の欠食率は男女とも20歳代で最も高く、男性で約3割、女性で約2割。20歳代の一人世帯に限ると、男性では約7割、女性では約3割

(3)脂肪からのエネルギー摂取が25%を超えている者の割合は、成人で男性約4割、女性約5割

2.メタボリックシンドロームの診断基準

上記の中で、「有病者」「予備軍」のカテゴリーについては、2005年に日本内科学会など8学会(日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会)が定めたメタボリックシンドロームの診断基準などにおいて取り上げられている。

8学会が定めたメタボリックシンドロームの診断基準は下記のようであるが、この診断基準に基づいて「内臓脂肪蓄積+2項目以上」に該当する場合が「有病者」、「内臓脂肪蓄積+1項目」に該当する場合が「予備軍」とされている。

         <メタボリックシンドロームの診断基準>

1)内臓脂肪蓄積 (・ウエスト周囲径(男:85cm以上、女:90cm以上)

  +

下記のうち、2項目以上(有病者)または1項目(予備軍)に該当

2)血清脂質以上  (トリグリセリド値で150mg/dL以上、HDLコレステロール値で 

          40mg/dL未満のいずれかまたは両方)

3)血圧高値     (最高(収縮期)血圧:130mmHg以上、最低(拡張期)血圧:   

          85mmHg以上のいずれかまたは両方)

4)高血糖      (空腹時血糖値:110mg/dL以上)

3.日本人の生活習慣の現状と問題点

上記のような基準に基づきメタボリックシンドロームと診断された場合、その人は糖尿病や高血圧症、高脂血症等を発症しやすくなり、また、それらの結果としてさまざまな心臓疾患あるいは脳梗塞(脳卒中)のリスクも高まる、とされる。

人口の高齢化が一層進むわが国において、こうした中高年層でのメタボリックシンドローム症状の増加を放置すれば、生活習慣病などの増加が一層加速されることが懸念される。厚労省では、こうした潜在患者の増加を食い止めるため、2008年度から「40歳以上74歳以下」の健保加入者及び扶養家族などの5,800万人を対象にメタボリックシンドローム関連の健康診断と保健指導を導入することを決めている。

メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の予防やリスクの高い人での健康対策などにおいては、生活習慣の改善、すなわち食生活、運動、嗜好品(飲酒や喫煙)の改善が重要となる。

<食生活>

・野菜の摂取量の不足

  成人一人当たりの一日の野菜摂取量の標準値は350gとされる。厚労省の今回の調査結果では総平均量277.5gであり、20%以上の不足となっている。年齢別でも、20歳代249g(-29%)、30歳代255g(-27%)、40歳代276g(-11%)と若年層ほど低い摂取量となっている。

・朝食の欠食

 朝食を摂らない人は年々増加傾向にあるが、2004年時点では全体で10%を超え、過去最高を示している。特に20歳代では男性で約30%、女性で約20%とともに高く、20歳代の一人世帯に限った場合では、男性で約70%、女性で約30%となっており、栄養バランス上、また不規則な食習慣による肥満の助長などのリスクが高まっている。

<運動習慣>

・運動量の不足、低下

 上記の報告書によると、平成16年の結果では、運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している人)の割合は、男性の60歳代以上では高く、男性の20~50歳代、女性の20~40歳代で低い、という結果であった。また、運動習慣のある人の経年変化(5年間)をみると、全体ではほぼ横ばいであるが、男性の60歳以上、女性の50歳以上で高い傾向が維持されているのに対して、比較的若い年齢層で低い傾向が続いている結果となっている。

<喫煙習慣>

現在習慣的に喫煙している人の割合は、男性で40%、女性で10%であり、男性では30歳代が最も高く60%、20、40、50歳代で50%、女性では20~30歳代で最も高く20%であった。また、男性においては、以前から習慣的に喫煙している人の割合は、年齢が上がるにつれ高い傾向が続いている。

<よく噛んで食べる>

40歳以上において、「何でも噛んで食べることができる」と回答した人の割合は、「歯の本数が20本以上の人」では約80%であるのに対して、「歯の本数が19本以下の人」では50%であった。この傾向はどの年齢層においても同様であった。

 

4.高まる健康食品への期待

以上のような現在の日本国民の健康・栄養状態の調査結果からは、どの面においても改善の必要があることが示された。こうしたことを背景に、特に注意が払われる食生活面では、近年、通常の食事のほかに不足しがちな栄養分や体質など改善のために「栄養食品」の摂取が増えている。

「健康食品」には、周知のごとく「健康補助食品(サプリメント)」と「栄養補助食品」等がある。このなかには、厚労省が設定した食品としての安全性や有効性をクリアした健康食品としての「保健機能食品」があるが、これはさらに「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」がある。

「特定保健用食品(トクホ)」の場合は、厚労省は「食品機能を有する食品の成分全般を広く関与成分の対象として、ある一定の科学的根拠を有することが認められたものについて、厚生労働大臣の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示した食品」と定義づけを行っている。このため、医薬品並みに審査され、販売認可を得るには人を対象とした試験データが求められている。

一方、「栄養機能食品」については、厚労省は「主に、ビタミン、ミネラルといった人間の生命活動に不可欠な栄養素について、医学・栄養学的に確立した機能の表示を行った食品であり、厚生労働大臣の定めた基準に従って、自己認証により表示を行った食品」と定義しており、現在、17成分(亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸)について、規格基準が定められている。

 

以上のことを背景に、わが国においても近年、健康食品市場の成長が著しい。健康食品市場には、上記のような国の基準にそった製品から全くの民間ベースの製品まで玉石混交の状態のため、正確な把握が難しいとされる。

以下においては、業界紙、その他が発表している市場予測データを紹介しながら、わが国での健康食品の現状や将来性を見ていく。

5.健康食品市場、トクホ市場の規模とその推移

●健食流通新聞(ニューマガジン社発行)の調査データ

 ニューマガジン社が発行する「健食流通新聞」が発表している「健康食品市場の推移」によると、日本の健康食品市場(トクホを除く)は、1990年代は概ね6,000億円から8,000億円の間で推移していたが、2000年以降は右肩上がりの成長を示し、2003年で1兆円規模を突破、2004年には1兆2千億円に達していると見ている2000年以降の5年間での市場成長率は毎年10%を示している。

健康食品の主な素材別の市場規模は、下表のようになっている。

          <健康食品の素材別市場(2003年推計値)>

ビタミンC

 480億円 

 

メシマコブ

 100億円

ローヤルゼリー

 420億円

 

イチョウ葉

 100億円

カルシウム

 380億円

 

ノニ

 100億円

食物繊維

 380億円

 

DHA

 100億円

青汁

 380億円

 

マカ

  80億円

クロレラ

 350億円

 

コエンザイムQ10

  80億円

アガリクス

 350億円

 

レシチン

  70億円

健康酢

 350億円

 

明日葉

  70億円

プロポリス

 320億円

 

霊芝

  70億円

ビタミンE

 280億円

 

カロチン

  70億円

マルチビタミン

 250億円

 

深海鮫

  70億円

アミノ酸

 220億円

 

ノコギリヤシ

  60億円

ブルーベリー

 220億円

 

椎茸菌糸体

  60億円

コラーゲン

 210億円

 

梅肉エキス

  50億円

プロテイン

 200億円

 

キチン・キトサン

  50億円

高麗人参

 200億円

 

マイタケ

  50億円

アロエ

 200億円

 

松樹皮エキス

  40億円

酵素

 200億円

 

フコイダン

  40億円

ビフィズス菌

 180億円

 

ブドウ種子

  40億円

プルーン

 160億円

 

  40億円

発芽玄米

 160億円

 

プラセンタ

  40億円

核酸

 160億円

 

ビール酵母

  40億円

グルコサミン

 150億円

 

ニンニク

  40億円

ウコン

 120億円

 

スッポン

  40億円

大豆イソフラボン

 120億円

 

 

 

「健食流通新聞」が発表している上記の健康食品市場には「トクホ」は含まれていないが、「トクホ」の市場規模については(財)日本健康・栄養食品協会が別途発表しており、

これによると、トクホの市場は1997年で1314.5億円、以降年々高い成長を示し(年率70%前後)、2003年には5700億円弱の規模へと拡大している。2005年には6,300億円規模と見られており、「一般用医薬品市場」(2003年度で6,700億円)の市場規模に達するかあるいは上回る規模になっている、とみられる。

以上から、トクホを含めた日本の健康食品市場は、2003年で1兆6千億円規模、2005年では2兆円超の規模と推定される、

また、(財)日本健康・栄養食品協会では、トクホの主要用途別の市場規模についても発表しているが、その結果を示すと下表のようである。(なお、この情報については立花証券「立花月報」2006年8月号による)

           <トクホの主要用途別市場規模、2005年>

     主な用途

    市場規模(億円)

  トクホに占める比率(%)

整腸関連(乳酸菌、他)

       3,705(  2%)

        58.8

中性脂肪・体脂肪関連

         880( 39%)

        14.0

コレステロール関連

         228(100%)

         3.6

血圧関連

         147( 67%)

         2.3

その他

       1,339( 11%)

        21.3

合計

       6,299(11.1%)

         100

<注>市場規模欄の( )内は2005年/2003年の伸び率を示す。

整腸関連は、トクホ市場の6割を占めるが市場は横ばい傾向となってきているのに対して、肥満や生活習慣病に関連した中性脂肪・体脂肪関連市場やコレステロール関連市場が大きく成長してきており、今後も成長が続くものと予測される。

 

 

6.健康食品関連の主要企業の動向

(「立花月報」2006年8月号による)

  企業名

      最近の動向

日本水産

中性脂肪を安定的に低下させる作用のあるドリンク剤「イマーク」はEPA、DHA含有製品では日本で初めてとなるトクホ認定商品である。今期の売上は15億円(前期比50%増)と最高へ。

明治製菓

砂糖と同じ甘味と性質をもち、低カロリーで、糖尿病患者が食べても血糖値に影響を与えない新甘味料「GF2」を近々発売の予定。トクホ製品では腸内ビフィズ菌を増やす「メイ・オリゴ」、コレステロールが高めの人向けの「大豆から作ったスープ」が堅調。

カルピス

血圧調整機能をもった「アミールS 」の売上は33億円(前期比16%増)、「健茶王」は22億円(同12%増)を見込み、健康機能性食品・飲料事業では82億円(同10%増)を予想。

カゴメ

主力の野菜飲料をはじめ、今年から発売された植物性乳酸飲料「ラブレ」の売上が好調、「ラブレ」は発酵乳と同様に整腸作用や血中コレステロール減少などの健康効果が期待され、今3月期の 乳酸菌売上高は102億円と急増の見通し。

花王

体脂肪低減効果のある「ヘルシア緑茶」、2006年5月に発売の「ヘルシアウォーター」のほか、体脂肪がつきにくくコレステロールの吸収を抑える「エコナ」シリーズを合わせた5品目がトクホ認定商品。今3月期のトクホ認定関連商品の売上は約600億円と高水準の見込み。

理研ビタミン

2005年よりトクホ認定商品で血圧引き下げ効果のある「わかめペプチドゼリー」を発売。2006年春からは販売強化を目指して委託通販に加え、自社通販も開始した。2006年2月からはコレステロールゼロのマヨネーズタイプ調味料「ノンオイル」を発売。

セントラルスポーツ

会員制のフィットネスクラブ業界第2位。全国に約160拠点を展開。40歳以上の会員が約60%を占め、健康志向を背景に今期も会員数は拡大の見込み。介護予防運動に加え、今年6月からは家庭でも手軽にできる業界初のフィットネス・レッスン映像の配信サービス事業を開始。

ファンケル

無添加化粧品メーカーだが、健康食品も手がけ、サプリメントの取扱商品数は約100品目。ビューティー、ダイエット関連が多いが、今三月期中には中高年層向け高価格サプリメントを発売予定で、来期から本格販売を計画。発芽玄米、青汁など健康関連も売上堅調。

 以上

 

     

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